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2013.6.9 『フランス料理』 第二章



第一章からの続き.....

私は4人テーブルのことも考え、今宵のディナーを楽しんでもらうべく、もう一人のイツメンも誘ってみた。
彼もそのお店は始めてで、喜んで行くとの返事...。 そう、役者はそろったのだ。

そうこうして、やっとお迎えの『池内代行』が皆を乗せやって来た。
「ご苦労さ〜ん、待ってたぜ~(ルパン風)」と後部座席のドアを開けた瞬間、思わず爆笑してしまう。
そこにはパリッとスーツに身を固めた一人のイツメンの姿が。
「フランス料理はスーツでしょう、セボン」と、ニヒルに笑い決め込む彼が足組み座っていた。
「くやしぃ〜っ!」不意をつかれた彼の行動に、
カジュアルな服装で行こうとしていた自分を後悔しつつ車に乗り込む。

「しかし、まぁ~パッツンパッツンやな」 「成人式依頼です。」

皆の胸が踊る中、ようやくお店に到着。
私は草刈正雄になったつもりで紳士的にドアを開けた。
ガチャ...「こんばんわ〜」「いらっしゃいませ」
私達は予約してあったテーブルに招かれ、静かに腰掛ける。
「きたな」と4人がニヤけ、深く深呼吸をする。さぁ注文だ。
ふと私が思い立ち、有無を言わさずウェイトレスさんに言った。
「シェフのお任せのフルコースを4人とも違った内容でお願いできますか」と、ついワガママな注文をした。
私は尊敬してやまない巨匠『Nワールド』の作品を堪能したくて仕方なかったのだ。
その後、料理が運ばれ、食べてしまうのが惜しいほどの美しい作品たちが4人の舌をうならせる。
  「お、美味しい…」
そう、その料理とは....『見た目』『味のクオリティー』もさることながら、
『ボリューミー&リーズナブル』ときている。
そして居心地のいい店内。正に非の打ち所がない『完璧』なフランス料理なのだ。
4人の瞳はもはやキャンディーを通り越し、ベルサイユの薔薇状態に。
そうしてワインもすすむ中、最後のデザートの時に奥からNさんが笑顔でやってきた。
「死ぬほどウマかったです」
お礼を言うと、Nさんのフランス料理に対する熱い想いのお話が始まる。
そうして夜ふけまでワインが止まらない時を過ごすのだ…。

料理とは『はかない』芸術作品だ。
手間暇かけて美しく、美味しく造っても、それはその時で消えてなくなる。
私の仕事のようにずっと形には残らないのだ。
しかしそれは偉大な力を持っている。
創作の素晴らしさ、食べれる喜びや幸せを教えてくれ、
そしてそれは舌や脳に深く思い出となり刻まれる。
ジャンルは違えども、Nさんの仕事に対する想いが共感でき、感銘した....そんなひと時だった。

次に気付いたのは明け方、家のガレージで眠る私がいた。
その辺りまでしか後半覚えていない。いわゆる『ベロベ~ロ』だ。

翌日、遅刻した私は二日酔いの体を抱えながらもなんとか仕事に復帰。
するとどうだ、出勤時間の1時を過ぎてもマブオがこない。
「アイツも二日酔いか、まぁ仕方ないな」そう思って放っておいた。
するとしばらくたってマブオからの電話が。
昨日の晩、酔い酔いの私は帰り際に「明日はみな自由出勤じゃよワッハッハ」
と言ってたらしく、それを真に受けたとのことだ。

池ちゃんの「自由出勤でしょ。笑」の意味がそこで初めて気が付いた私であった。

『フランス料理』 完

『ライフ』
『ライフ』 『ライフ』 『ライフ』