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2013.6.13 『ナナニヒストリー』 第一章



この話は大きく3つのドラマが盛り込まれてある。
どうぞおヒマな時にお付き合いいただきたい…。

永い永い眠りから覚めようとしている、一台の旧車が私の目の前にいる…

1960年、当時持てる全ての技術が注ぎ込まれ、
ホンダが総力をあげて開発した名車中の名車『CB72』である。
通称『ナナニ』と呼ばれるこの名車が3年ほど前に当店に入ってきた。
依頼は『レストア』だ。
レストアとは、この業界ではいわゆる『修復、修繕』ということで、
簡単に言えば『汚い』ものを『綺麗』に復活させることである。
ウォシュレットのボタンを押す行為も私の中では『ヒップレストア』という。
略して『ヒプレス』又は『スボレス』とも言う。失礼…。

3年前、オーナー様宅へ車両を引き取りに行った。
見るとガレージ前の軒下に『ナナニ』は静かにたたずんでいた。
聞けば、18年間軒下に放置プレーとのこと….。
池ちゃんが、時折放つ私のオヤジギャグに対して5秒間放置プレーするのとは訳が違う。
「なかなかキテますね~。汗」一言でいうと『ゴミ』である。
塗装はめくれ、メッキやエンジンはもちろんサビサビで、各可動部は固着している...
しかしこんなボロボロでもやはり『腐っても鯛』だ。
市場ではそんな状態でも数十万円はするシロモノで、実動で綺麗な物なら軽く100万は超える。
そんな『ゴミ』に魂を注ぐべく『ナナニvsクリスタルひとし君』の無制限一本勝負のゴングが鳴り響いた。
「チン…(ミュート気味)」
数々のオンボロを復活させてきた私の腕が暴れ出す時がきたのだ。

引き上げた当初、まずはエンジンを修理する。
苦戦の末、動かすことに成功。「ブルル~ン!」「か、かっこいぃ...」
私が生まれてもいない’60年代。マン島レースに参戦するレーサーの気分に勝手に酔いしれる....。
よし、エンジンはOKだ。それを確認してからいよいよ全バラ作業に入る。
ネジ1本残らず全てバラバラにする。
当然その直後、疲れ果てた私の頭のネジもバラバラになる。
『釘』が『ネジ』に負ける瞬間である。失礼…。

私は長期戦になるのを踏まえ、バラしながら各部を携帯のカメラに残すことにした。
どの部品がどのような位置関係にあり、
配線やワイヤー類がどういう取り回しになっているか忘れないためにだ。
…さぁ、下準備はできた。

が、これはこれから訪れる試練の序章に過ぎなかったのだ…。

第二章に続く.... 

『ライフ』
『ライフ』 『ライフ』 『ライフ』